【福岡アイランドシティ中央公園テーマ館・ぐりんぐりん】(2005)


タイトル『ガマおやびん』
設計:伊東豊雄
竣工:2005
住所:福岡市東区アイランドシティ中央公園




この間、九州を旅行した際に見てきました。

ぐりんぐりん。

これを見に行くためだったと言ってもいいです。

香椎浜の人工島に作られた公園で、「アイランド花どんたく」という緑化フェアのイベントの、中核施設として作られました。

竣工前からもとても話題になっていて、雑誌にもガンガン載ってましたよね。
設計に口を出す前に、私が改めて伊東氏はほんとにすごい人だ、と思うことを書かせてもらいます。

それはなにかというと、

スピードです。

プロジェクトは2002年から2005年の間で行われました。
2002年と言えば、私は学部の2年かな、
あとは仙台メディアテークの竣工が2001年だから、そのすぐ後ってことになります。

つまりね、

今見に行って、人の目にちょうどよく見えるものを作ることがどれだけ大変か、ということです。

我々の意識よりも早く、現実に建ててしまうことの凄さは半端じゃないじゃないですか。
新しくできた建物が我々の想像の範囲外にあることは、とても珍しいことだと思います。
表参道や銀座など、商業ビル程度の規模ならばわかりますが、この大きさのものではほとんどありません。

今あってもおかしくないなあ、ありきたりだなあ、とか思われるのは仕方がない・・・。
だって考えたのは何年も前ですもん。
いくら修正したって、根本が古ければどうしようもないっすよ。

ぐりんぐりんで言えば、2002年の時点で、今私たちが新しいと思うイメージを伊東氏は持っていた、と。
それにはほんとにすごいなあって感心してしまうんですよね。

例えば、安藤忠雄氏の建物がもつ安心感は、幾何学を背景にしているからでしょう。
自分以外の誰の意識も厳密にいって共有することはできません。
ただ、好きか嫌いかは分かれるにせよ、線は線で、円は円だという感覚は他の感覚よりも共有しやすい。

さらに床の厚みが、薄いと思うか厚いと思うかは、不変ではないけど、
線、円、角度は不変です。90度が直角じゃなくなることは、たぶんないです。
安藤氏は、それを自分のブランドイメージ、戦略として使っていますが、大多数の人たちは幾何学のような時代性に反映されない感覚を無意識的に用いることで他者との共有意識の拠り所にしています。

しかし伊東氏はそれを怖がらずに、今の、先端を提案し我々にその価値を評価する機会を与えてくれる唯一といってもいい人です。新しいものを次々と提案するスピードと、予見するスピード。
いやぁ、素晴らしい。
























・・・・・・。
























で、






























この(ぐりんぐりん。)の評価ですが。
















































無し。ヽ(;´Д`)ノ
















































どうした豊雄。
伊東氏が予見した2005年の先端よりも私の意識のほうが少しだけ早かったのか。
いつからこんなハコモノを作るようになったんだ。
いや、ハコじゃないハコモノか。うねりモノ?
もともとプログラムが悪かったのかなあ。
展示計画に口出させてもらえなかったのかなあ・・・。


つながってるようで独立している3つの空間と、これまたばらばらな屋上庭園の通路。
内部はただのがらんどう。よく言えばダイナミックな空間だなあ、これ。

う~ん。

もうちょっとスケール落としたらいいんじゃないでしょうか。これ。
大空間じゃ壁と天井がつながってたってよくわかんないし、ぶっちゃけどうでもいいです。
もう少しスケール落とすだけで、空間を作り上げている奇妙なうねりが体感できたんじゃないでしょうか。


しかし何よりもがっかりしたのが、コンクリートの厚さなんです。
近づくと、その厚さにびっくりしてしまいます。(感覚的に。)
無理矢理曲げた感があるアルミの見切材も残念。
後はシーリングしまくりの納まりにもがっかりでしたねぇ。

一番よかったのは遠目で見ること。
厚みもほどよくなったうねった変な物体は、興奮すること間違いありません。
まあ、それよりも遊具公園にあるぐりんぐりんの残骸みたいな遊具が一番おもしろかったですけどね。

結局、現実にぐりんぐりんがあることがすごい、というのが最大限の評価でしょうか。
ここまで無理してみても、特に素晴らしくおもしろいというわけじゃなかったですから。

さらにイベント自体にもケチをつけさせてもらうと、全体のまとまりがまったくありません。

企画者A「話題作りにでも、伊東豊雄氏に設計をしてもらおう。」
企画者B「おお、そりゃあいいですな。ではこの一角をお願いするとしよう。」

的なことではなく、全体を総括して計画するために建築家を使うべきです。
そうでなければ、いくらぐりんぐりんだけ良くても、イベントの印象としてはあまりイイ出来には感じません。
鳥取花回廊の方がよっぽどおもしろい。

また、展示方法についてもきちんと考えてもらいたい。
ぐりんぐりんでは、内部から屋上にでるためのスロープがあったのだけど、それは使用禁止になっていたし、
屋上に上がるためには、いちいち係の人に番号札をもらわなければいけない。
管理のためとは言っても、そんなんで楽しいはずがないじゃないですか。
いらないものを建築家が考えるはずがないんです。
スロープがあるのは、それが楽しくて、使って欲しいからです。
それを使用禁止にするのは、(しかも一番楽しげだと思われる。)ほんとに残念です。
一言言ってやってください。
伊東さん。




stars 豊雄氏の絵本、です。

ものすごく、わかりやすくて短いコンセプト本とでもいったらいいのか、まあ、確かに絵本といったら絵本だけど・・・。新たな試みにはとても共感するんだけど、建築系の方にしたら物足りないし、子どもに見せて喜ぶものでもなさそうだし…。


シリーズで出ていて、個人的には「物語のある家」がお勧めです。

by zubora , 2005/12/06

photo
みちの家
伊東 豊雄
インデックスコミュニケーションズ 2005-07
物語のある家 地球と生きる家 中心のある家 集まって住む 家族をつくった家


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.2005.11.08
COMMENT

はじめまして。僕のブログにトラックバックつけていただいて
ありがとうございます。(_ _)

写真の撮り方がおもしろいですね。
なかなかああいう写真は見たこと無いです。

それと、鋭い意見ですね。
僕は逆にもうちょっとスケールが大きいかなって思いました。
ハコモノっていうよりただ何となく空間をつくってみた
っていう感じは否めないです。
たぶん「あの人口島にランドマークをつくってくれ」
とクライアントに言われて、「じゃあ丘をつくろう」
と伊東さんが考えてああなった感じがします。
有名建築家だからこそ出来ることですよね。
確かに、その数年前に考えたことが新しい
っていうのには納得します。

伊東さんは面白いことを考え付くから
今の若い人たちにも支持されるんでしょうね。

たつじゅん  2005.12.15

たつじゅんさん、遅くなりましたが、コメントありがとうございます。

鋭いというか、いつも勝手な意見で申し訳ないんですけど、結論は極端に、というのが信条なので(笑)
私もたつじゅんさんの文章、楽しく読ませていただいています。また、よろしくお願いします。

zubora  2005.12.21


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