【海遊館】

世界最大級の大きさを誇る、大阪天保山にある海遊館

世界最大級を誇るだけあって、建物もばかみたいに大きい。
だがそれだけに目の前にある海には目もくれずこの巨大なコンクリートの塊に突入していく姿はなんとも滑稽に思えてならない。
海の目の前にある巨大なコンクリートに中で水槽を見て歩く。海で遊ぶと書いて海遊館。
いや、目の前にあるんですけどね、海。
これがGWなんかの込み入っている時節の場合は、室内酸素不足、という魚も笑えない冗談が付け足される。
水槽に囲まれた狭い空間を息切れしながら並んで歩くのだ。
そうなるともはやどちらが囲まれているのか不明だ。
笑わない魚を笑わせにきたとしか思えない。目の前を横切った魚が言う。


いや、目の前の海で遊べばいいじゃないですか。
なんで地上で酸素不足になっているんですか。


前半戦が終わる辺りにこしらえているベンチと自動販売機を見たときは、設計者の慈悲を感じずにはいられない。
素直にありがとう、と心の中でお辞儀をする。
さあ、あとどれくらいだ。こいつらみんな追い抜いて、さっさとシャバに出ようじゃあないか。
ベンチを立ち上がる時には、心境はマラソン選手のそれになる。前半とばしすぎたことを反省するように、丁寧に撮っていた写真も後半はおざなりだ。
首からぶら下げるスタイルが主流に、立ち止まっている選手は、次から次へとオーバーテイク。

いけいけぇ。
進めぇ。

ん?魚どこ?
いいや、いけいけぇ。
進めぇ。

ああ、あれね、うん、かっこいいじゃん。
おし、いけいけぇ。
進めぇ。

あ、クラゲだ!
クラゲおもしろいね。
全部同じに見えるね。
(かぶりついて見ている)この子であんまり見えないけど。
けどまあ一つ見たらもういいよ、いけいけぇ。
進めぇ。

お、あそこで終わりじゃね?
結構早かったね。(当たり前承知。)
ちょっと座りたいね。
おし、いけいけぇ。


とまあ、そんな調子で水族館というのは不思議な空間だと思うんですが。
自然の海というのは、あまり生物とは結びつきにくいものなんだと思う。
視界いっぱいに拡がる海に生物を感じる瞬間なんてほどんどなくて、どこか記号的なものとして捉えてしまっているような気がする。
水族館にある生物としての海と、記号的な自然の海。二つはそれぞれが違う役割を持っていて、決して交わらず、同時に見ることもかなわない。
それはまた、水族館という建築の限界と可能性を示しているように思う。



近所のマンション。


ranking




.2007.04.27
COMMENT

ご利用のブラウザ、設定ではご利用になれません。